• 現在のお知らせはありません。

2024年09月20日(金)本日の番組表

UXニュースNEWS

2024.08.30【特集】155年続く温泉街の伝統菓子と一期一会:小冨士屋の優しい味とおもてなし【この町で~愛される老舗~|新潟】

【特集】155年続く温泉街の伝統菓子と一期一会:小冨士屋の優しい味とおもてなし【この町で~愛される老舗~|新潟】
155年愛され続ける菓子店『お菓子処 小冨士屋』
一族代々、100年以上も受け継がれる伝統の"煎餅"は、優しい味がします。モットーは『一期一会』。温泉街の老舗菓子店を訪ねました。

県内有数の温泉地として知られる、新潟市西蒲区の岩室温泉。その歴史は古く、北国街道の宿場町として、江戸時代から賑わいを見せていたと言います。この地で明治2年に創業し、155年もの間、愛され続ける菓子店、それが『お菓子処 小冨士屋』です。

店主の妻・武藤真由美さん。モットーは、お客さんとの会話を楽しむことです。
■店主の妻・武藤真由美さん
「よかったらお茶でも一服いかがですか?」
■富山詠美アナウンサー
「いいんですか?」
■店主の妻・武藤真由美さん
「これね、イチジク羊羹で“越の雫”というイチジクのブランドがあって、それで100%作りました。」
■富山詠美アナウンサー
「お菓子屋さんで、こんなおもてなしは中々ないですね。」
■店主の妻・武藤真由美さん
「そーです(笑)そうですか?うちね昔からそうなんですよ。」

お菓子とお茶でおもてなし、買い物客と会話が弾む、小冨士屋の接客スタイルです。
■富山詠美アナウンサー
「イチジクの風味がすごいですね。ちょっとツブツブ、食感も残ってます。」

小冨士屋は明治2年の創業当時、温泉宿に芸妓を派遣する置屋でした。2代目が土産物を売るようになり、その後、本格的に菓子作りをスタート。一族で歴史を積み重ね、真由美さんは6代目の妻として、店を守っています。
■富山詠美アナウンサー
「看板商品は?」
■店主の妻・武藤真由美さん
「看板商品は岩室煎餅になります。うちの3代目が考案したお煎餅で、130年以上前から焼いています。」
■富山詠美アナウンサー
「いい音ですね~。サクサク感というか軽いザクザク感が…ほんのり甘いのが癖になりますね。」

小冨士屋の代名詞が"岩室煎餅"。
3代目が、群馬の磯部温泉で作られている煎餅を見て、名物にしたいと考えました。
■富山詠美アナウンサー
「6代目のご主人と奥様が自ら焼くんですね?」
■店主の妻・武藤真由美さん
「私たちが一番焼くのが上手なので。」
■6代目店主 武藤公一さん
「(別の店で)修業して帰ってきたら、まず先に何を覚えろと言われたかというと"煎餅"を覚えろと。なんで煎餅を覚えるんだって言ったら、うちの代々の名物だっけ。」

特徴の〝ほのかに甘くサクサクとした軽い食感〟は、小麦粉に水と炭酸などを混ぜて作る生地に秘密があります。
■店主の妻・武藤真由美さん
「タネをこねる時のこね具合とか、あとやっぱり水加減とか、季節によって違うので難しいですね。長年の勘って言うか…。」

かつては、一枚一枚手作業で焼いていましたが、5代目が“半手動式”という独自の機械を導入、焼き上げる工程を機械化しました。機械を入れて、伝統の味を守れるのか?5代目は悩んだ末、店を長く続けるには生産効率を上げることも必要と決断。メーカーとの綿密な打ち合わせを重ね、味を守りつつ、生産性を向上させました。
■富山詠美アナウンサー
「ちょっと反る形は昔からですか?」
■店主の妻・武藤真由美さん
「はい、昔からです。(3代目が参考にした)磯部煎餅は真四角、岩室煎餅は楕円形にして反る形にして、そうすると重ねた時に一杯に見えますよね。そういう理由があるみたいですよ。だから、3代目の人は頭がよかったんですね。」

浮彫の絵柄にも思いが込められています。
■店主の妻・武藤真由美さん
「弥彦の大鳥居とかロープウェイとか間瀬海岸の魚とか、20種類くらいですね。それを見て、岩室を思い出して食べてもらって、それが有難いんだ。」
■富山詠美アナウンサー
「皆さん絵柄も含めて楽しまれているんですね。」
■店主の妻・武藤真由美さん
「ところが、皆さん試食で出すと直ぐパクッと口に入れるので、ちょっと待って!ちょっと待って!って言ってね(笑)よく見て食べて下さいって。」

3代目の"岩室煎餅"に続き、小冨士屋の店主はどの時代もヒット作を生み出しています。
4代目は、"雁の子"。卵白で作った衣で、卵黄と白あんを混ぜた“黄身あん”を包んでいます。優しい甘さが人気を呼びました。
5代目は、黄身あんの人気を生かし、衣にもふんだんに卵黄を使った"たまごまんじゅう"。岩室を代表する“温泉まんじゅう”としてロングセラーになっています。
そして6代目、真由美さん・公一さん夫妻の作品は、"豆腐プリン"です。
■富山詠美アナウンサー
「なめらか、一瞬で口の中でとろけました。」

プリンの底には、カラメルではなく小豆。
■富山詠美アナウンサー
「小豆が加わると、よりまろやかな甘さになる気がします。」
■6代目店主 武藤公一さん
「子供には毎日食べさせましたよ。どれが一番旨い?って言ったら小豆が一番言うて。」

2人にとって小冨士屋は、子育ての思い出が詰まった場所でもあります。
■店主の妻・武藤真由美さん
「おんぶして店に出たりご飯作ったりしてました。店にくれば人がいっぱいいるし、(当時は)社員さんが居て女の人ばかりだからみんな慣れているし。」
■6代目店主 武藤公一さん
「みんな構うから子どもを。」

長男の龍一さんは、7代目として歴史を継ごうと菓子作りに励んでいます。すでに、オリジナルの菓子を商品化していて、特に人気なのがこの"葛バー"。溶かした寒天に葛とイチゴの果肉を混ぜ、冷やして固めます。それを食べやすいサイズに切って冷凍庫で凍らせる、アイスのような逸品です。
■長男・龍一さん
「溶けづらくて、溶けても液体になってタラタラたれなくて食べやすい。小さい子でもお年寄りでもみんなが食べやすいようにと考えて作りました。」
■富山詠美アナウンサー
「もっちりしてますね。たしかに新食感です。こんなにキンキンに冷えているのに、もっちり食感が不思議ですね。」

イチゴの他、レモンやブルーベリーなど6種類の味があります。
■長男・龍一さん
「凍らせて食べるので、凍っているときに食べやすい(硬さになる)ように、溶けてもたれてこない塩梅を見つけるのが大変だった。」
■富山詠美アナウンサー
「このまま外を歩いても、食べ歩きに丁度いいですね。」

新たな味と伝統の味が、小冨士屋の歴史をつないでいきます。
■店主の妻・武藤真由美さん
「一期一会という言葉を5代目のおばあちゃんから受け継いでいて、(今後も)それをまた受け継いでいってもらいたい。」
ページのトップへ