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2024.09.26【特集|スタートアップ】なぜこの形で回るのか?風力発電の革新-実証実験を経て目指す商品化【新潟】

【特集|スタートアップ】なぜこの形で回るのか?風力発電の革新-実証実験を経て目指す商品化【新潟】
〝斬新なデザインの風力発電〟スタートアップ企業「パンタレイ」が開発
長岡技術科学大学で誕生したスタートアップ企業が〝斬新なデザインの風力発電〟を開発し、注目を集めています。一般発売に向けて、各地で実証実験や調査を始めています。

なぜこの形で回るのか…一般的にプロペラにあたる部分は円筒形。スポンジやペットボトルなど、ぶつかっても危険のない材質が使えます。この形で回転する秘密が、背後に装着されたリング。風が吹くと円筒とリングの間に生まれる渦が、風車を回転させるエネルギーになっています。『縦渦(たてうず)リニアドライブ』と名付けられた構造です。

長岡技科大の佐藤靖徳特任教授が代表を務め、風力発電を手掛けるスタートアップ企業「パンタレイ」。

■パンタレイ 佐藤靖徳代表
「風車がすでに設置されていたところに代替するのではなくて、ブレード型風車を置きたかったけれど置けなかったような、人が行きかう都市部・住環境に近い場所に設置ができる。」

5月、東京で開かれた全国のスタートアップ企業が一堂に集まるイベントに試作機を出品しました。大型設備の電源を担うものではなく、災害時の緊急対応や一般家庭などの補助的なイメージ。一方、斬新なデザインで安全かつ騒音も小さく、設置のしやすさが大きなメリットです。上場企業や自治体など、ブースを訪れる人は後を絶ちませんでした。

■北海道庁の職員
「北海道は風はどこでもあるので、より簡易的なこういったものはチャンスがあるんじゃないかと思った。」
■プレス加工会社 新規事業担当
「再生可能エネルギーには興味があって、一緒にできたらいいなとは思う。」
■製造業
「再生可能エネルギー・環境発電を使って電力を生成して動かすことをやっているので、それにちょっと使えないかなと見させてもらった。」

■パンタレイ 佐藤靖徳代表
「どうやって回っているのか知りたいという面白さのところと、今の再エネに関して皆さん課題を抱えているところが色々あるのかなと。あとは、新規事業として新しい技術を探しておられる方が多い。」

リサーチや今後の協業を模索する話があったということです。


8月、佐藤さんの姿は佐渡に。

■パンタレイ 佐藤靖徳代表
「佐渡市役所の方々と来年以降、我々の試作機を設置するにあたって、どういう場所があるか調査に来ました。あとは、関係者の方々に再エネで作る電源にどういうニーズがあるかヒアリングに。」

佐渡市は、庁舎の屋上などにパンタレイの風力発電機の設置を検討しています。
離島にとって再生エネルギーの活用が課題の一つ。一方、佐渡の場合、トキの野生復帰を進める中、大型の風力発電はバードストライクの懸念があります。そこで、そのリスクを低減できるパンタレイの技術に注目していました。佐渡市役所相川支所の屋上で、設置に向けて調査しました。

■パンタレイ 佐藤靖徳代表
「夏の時期にこれぐらい風が吹いていれば、冬にはいいデータが取れそう。」


市内の企業とも情報交換。精密機器の部品加工などを扱う佐渡精密。この夏からコンテナハウスを活用したホテル事業を始めました。災害時には避難所としての活用も視野に入れたものです。そのホテルで活用の可能性があるかもしれません。

■佐渡精密 末武和典社長
「簡易性がすごく可能性を感じた。オフグリッド(電力網を使わない自給自足)な発電に使えないかと可能性として感じています。」


廃校を酒蔵にしている尾畑酒造。ゼロカーボンの酒造りを目指し、再生エネルギーの活用を検討しています。

■尾畑酒造 平島健社長
「冬に太陽光発電が減るところを多少でも補えるところがあればいいのが一つ。緊急時などに電源として補えるところがあるかと思っている。最終的に、自分たちが本当に必要な(発電)量を供給していただけるものの1つの可能性として、みていくことが現実的。」

パンタレイは今後、周辺の気象データなどから自社の発電機を設置した場合の発電量を計算。市や企業側と共有し展開を模索します。

さらに、佐渡に先駆けて実証実験を始める場所がー
長岡市寺泊の寺泊水族博物館の屋上にパンタレイの発電機が設置されました。水族館側は、環境学習などに力を入れていることもあって、再生エネルギーを紹介する一環として協力を決めました。

■寺泊水族博物館 小熊博史館長
「来ていただいた方々から装置を見ていただくことで、海の自然や環境に関心をもっていただけるんじゃないか。」

ここでは、風速10m/sで200Wの発電を想定しています。

■パンタレイ 佐藤靖徳代表
「一緒にやりたいと言ってくださる企業もいるので、そういったところとコラボしながら進めたい。ここまで一つにユニットにできると、試験的にどこかに導入することもできるので、僕らとしても大きい一歩かと思う。」

データを集め、試作機の商品化を進めます。発売は、来年春頃を目指しています。
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