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2024.09.04【特集|液状化被害のその後】夏祭り開催で笑顔-自治会長と住民の復興への取り組み【新潟・江南区】

【特集|液状化被害のその後】夏祭り開催で笑顔-自治会長と住民の復興への取り組み【新潟・江南区】
地震の爪痕残るなか、恒例の夏祭り開催
能登半島地震で液状化の被害を受けた新潟市江南区の天野地区では、地震発生直後から地域ぐるみの対策を求めて住民たちが行動を起こしています。陣頭指揮を執る自治会長の活動に密着しました。

8月25日、新潟市江南区の天野中前川原自治会が開いた恒例の夏祭り。子どもたちの元気な声が響きましたが…その足元には地震の爪痕が残されています。震度5強を観測し、液状化の被害が広がった新潟市。かつて信濃川が流れていた旧河道にある天野地区も、大きな被害を受けました。地震の翌日には、住民が土砂の撤去に追われていました。

被災から8カ月。天野中前川原自治会の増田進会長。地震を受け、祭りの中止も検討しましたが、役員との協議を重ね開催を決めました。
■増田進会長
「こういうイベントを通じて一番大事なのは、地域の連帯感・繋がりを改めて確認できる。(夏祭りで住民同士が)初めて会う人もけっこういた、そういうつながりが一番大事。」

手作りの出店がズラリと並び、賑わいの中で住民の交流が生まれました。
■子ども
「(Q.お祭りどうですか?)楽しい。」
「めっちゃ楽しいです。みんなでお神輿担いだり、かき氷を食べたり楽しめる。」
■大人
「皆さん、(地震で)ご自宅も大変な思いをした人が多かった中で、地域のみんなのためにお祭りを開いてくれて感謝です。」

被災地に広がる、つかの間の笑顔。増田さんは、安心安全な暮らしを取り戻すためには、地域一体の液状化対策が不可欠だと考えています。
■増田進会長
「喫緊の課題となっている地震(液状化)対策も、ますます声を上げ続けていきたい。」

新潟市は、今後の地震に備えて地盤改良をともなう液状化対策を進める方針です。地盤改良は、一定の範囲をまとめて実施する必要があるため、住民の合意が条件となります。新潟市は、費用の一部について住民負担を前提としていて、合意形成の難易度が高いとしています。

増田さんは、今後の合意形成を見据え、住民へのアンケート調査に取り掛かりました。
■増田進会長
「(液状化対策を)やってもらいたいのが、(住民の)本音だと思う。また(地震が)きたらというのもあるので…。前から経費の問題、自己負担云々もあります。それについても自己負担なしを希望するとか、いくらまでなら良いのかなど(住民の)アンケートにいれたい。」

アンケートは、液状化対策を希望するかどうか。住民負担については、「なし」「10万円以下」「50万円以下」の選択肢を設定し、現時点での住民の意向を把握する狙いです。
■増田進会長
「こんなもんかなー・・・よし!」

自治会の325世帯のうち、被災した140世帯あまりに用紙を配りました。
■増田進会長
「何も決まっていないんですよ、市の方で、下手をすると5年かかるとか8年かかるとか噂が流れているだけで、とても、そんなのだと…無理ですよね?」
■住民
「そうですね。」
■増田進会長
「できるだけ早く、一日も早くってことで。とにかく声を上げ続けて、なんとか早くしてよ、安くしてよ、ゼロにしてよ、みたいな。よろしくお願いしたいと思います。」
■住民
「はい、わざわざ(ありがとうございます)。」
「できるだけ早めにやっていただければ、せっかくここに家を建てて住んでいる訳ですから、やっぱり長く住みたいですから。」

新潟市は、江南区や西区の液状化被災地域で今後、地盤調査を実施する方針です。その結果を受けて、対策が可能かどうか?どんな工法が効果的で、どのくらい予算がかかるのか?などを判断するとしてます。
しかし、調査開始の目途はたっていません。増田さんは、天野地区で対策が実現できるのか?不安を募らせていました。

新潟大学で災害科学や地質学を研究する卜部厚志教授。天野地区の地盤や液状化対策について学びたいと、増田さんが招きました。
■増田進会長
「西区の善久とか石川県などから見れば、天野は被害が大きくないと言われることもあるが、やはり同じように被害を受けているので。」
■新潟大学 卜部厚志教授
「それは承知しております。調査担当なので、ここらへん全部歩いて液状化の状況を見た。」

天野地区の地盤の性質や調査の方法などについて、説明を受けました。そして、話題は液状化対策の方法に及びます。
■増田進会長
「例えば、うちの自治会の場合、状況を見た上だと思いますが、(液状化対策を)やる場合、地下水位なんとか方式が一番いいんですか?」
■新潟大学 卜部厚志教授
「地下水位低下方式でやりやすいのは、(旧河道である)ときめき地区・善久地区・天野地区はやりやすい。」

地下水位低下工法とは、透水管と呼ばれるパイプを地中に通し、地下水の水位を下げることで液状化を防ぐ方法です。中越沖地震で液状化に見舞われた、柏崎市の山本団地などで実績があり、効果を挙げています。卜部教授は今後、天野地区でボーリング調査を実施する意向を示し、増田さんは自治会として地権者の許可を取ると約束しました。

■新潟大学 卜部厚志教授
「もともと(天野地区の調査を)やらなきゃと思っていて、なかなか地権者との交渉が大変なので。せっかくの機会なので、そんなに大きい額ではないので、研究費を工面して(調査を)やろうかと思う。」
■増田進会長
「本当に良かった。今までモヤっとしたものがあったが、卜部教授の話しを聞いて(液状化対策が)可能だと、仮定の話だが(可能性があると)分かっただけでもホッとした気持ちがある。」

住民アンケートは、配布した約140世帯のうち80世帯あまりから回答がありました。
■増田進会長
「ここまで強く液状化対策を希望しているというのが途中経過ではありますが、90%以上の方が同意すると。」

対策には大多数の住民が同意の意思を示した一方、半数近くが費用負担なしを求めています。
■増田進会長
「被害に遭った方は相当お金使っている訳ですからね。復旧のために。ここにお住いの方々は、自己負担なしでお願いしたいのが一番大きな声だとアンケートから読み取れる。」

住民の思いをまとめる努力は続きます。
■増田進会長
「(Q.増田さんを突き動かすものは?)う~ん、なんでしょうね………なんでしょうね、私自身が被災したという部分ではない部分があると思う。やはり、困っている人が居れば助けてあげたいというのは、人として当たり前のことをやっていると思う。私は昔からそういう考え方を持っていますのでねぇ。」
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