フィブリノゲンなど汚染された血液製剤を投与されたことにより感染するC型肝炎。
患者らの救済法が成立してからおよそ1年半がたった。


救済法は裁判を通じてカルテなどの医療記録を元に血液製剤の投与が確認されれば適用され、症状に応じて1200万円から4000万円の給付金が交付される。
これまで県内では20人が和解し、救済法の適用が決まった。
救済法の適用を求めて提訴したC型肝炎患者の上越市の久保紀子さん

出産した際に、血液製剤を投与され、感染したとして訴えているが、彼女が診療を受けた病院はすでに廃院となっていて、カルテは処分されていた。
そのため、証拠として提出したのは「育児記録」。そして、なんとか見つけ出した診療に当たった医師の証言だ。

国側は、投与が立証されれば和解し、救済法を適用するとしていて、今後は医師への証人尋問などが行われる予定だ。
彼女は「国が罪を認め、患者全員を救済するまで自分の体と戦いながらがんばって行きたい」と放す。その裏にあるのは「救済への高い壁」。
汚染された血液製剤が投与された人は1980年以降だけでも推定28万人に上る。しかし、救済を求めて提訴したのは全国で1475人にとどまる。実は、多くの患者が「カルテ」がなく、提訴に踏み切れていないという現実がある。
カルテがない患者の1人。佐藤静子さん。肝炎が進行し肝ガンになり手術を受けた。

肝炎に感染したきっかけは次女を出産した際に出血が多かったため投与された血液製剤フィブリノゲンだった可能性がある。しかし、久保さんと同じく当時の病院は廃院となっていてカルテはない。なんとか医師を見つけて証言を得たものの、それだければ裁判の証拠にならないという。
佐藤さんはカルテのある人と無い人で患者が違うのか。救済法とはなんなのか。一律救済を求めて法律を見直し手欲しいと訴える。
同じく戦いを続けている坪谷昭子さんの遺族。坪谷さんも佐藤さんと同じく肝炎から肝ガンに進行し、その後亡くなった。

坪谷さんもやはり、出産の際に投与された血液製剤が原因ではないかとみられている。母子手帳に出血の記録はあるが、投与の記録はない。そのため、当時の治療方針として、血液製剤の投与以外にありえたのか、使用を証明できるかがカギになる。

周囲からは「給付金目当てではないか」という心無い言葉も聞こえるという。
遺族は「肝炎に感染していない坪谷さんの体を返してもらえるなら一円もいらない」「母の20年間の苦しみを証明したい」と話し、これからも厳しい戦いを続けていく。
(取材に当たった朝日新聞・長富記者)
薬害C型肝炎は、もともとは国の血液行政の不備が原因だった。
しかし、問題が発覚してからも、国はカルテの保管を義務付けるなどの対応を怠ってきた。
今国会では患者への医療費を助成する法案も審議されていたが、政局のなか廃案に追い込まれた。患者が高齢化する中、幅広い救済を検討することが急務となっている。